エルヴェ・ル・テリエ 著
(Hervé Le Tellier)
加藤 かおり 訳
フランスで、100万部以上売り上げているヒット作とのことである。
極近未来の出来事を書いた一種のSF的小説である。
複雑な構成の小説であり、登場人物も多く、また、多様な人物が描かれる。
冒頭から殺し屋が登場する。そして、「異常」と言う作中小説を記す小説家、映像編集者、がん患者、カエルを飼っている少女、弁護士、歌手、など、様々だ。
これらの登場者は、関わりがなさそうであったが、同じエールフランス機に乗り、ひどい乱気流に遭遇することになる。
そして、第一部の最後に、本書の主題となるあり得ない出来事が記される。
そして、このあり得ない出来事を解明しようとする科学者や研究者、宗教家などの議論が展開される。
明確な解の無いまま、搭乗車となった人々が、その現実と向き合うことになる。
SF的なストーリーから、人としての行き方などを思索するストーリーにも発展する。
やや難解とも言えるストーリーであるが、読み込むと面白い小説である。
2022年2月15日 初版発行
2022年3月25日 再版発行
発行所 株式会社早川書房
ISBN978-4-15-210079-5
C0097 \2700