温 又柔（おん ゆうじゅう） 著
表題作を含む3篇の物語で構成されている。
表題の『年軽』は、若いという意味だそうだ。
掲載される3篇は、いずれも台湾にルーツを持つ人が登場する物語である。
大戦の前、台湾は、日本の領土であり、かつて日本人だった台湾の人もいるが、ある時、突然、日本人であることを否定された。
また、戦後、日本に、移住して来た台湾の人もいる。
そして、その子どもたちは、大人になった時、台湾国籍をとるか、日本国籍をとるかを選択させられる。
どの物語でも、大きな事件は起きないが、人生を生きていく上で、国籍、言語、ジェンダーなどのマイノリティ性を誰でも持っていると言うことが、本書の主題だと思った。
著者も台湾生まれで、幼少期に日本に来て、東京で育ったそうなので、本人の感じた事柄から描いた物語なのだろうか？
2022年10月4日 第1刷発行
発行所 株式会社講談社
ISBN978-4-06-529372-0
C0093 \1450E