万城目 学 著
吸血鬼として、生まれた女子高生の物語である。
吸血鬼は、長年の間に、人間社会に溶け込んでおり、ヒトの血を吸ったりすることなく生活している。
17歳までに、ヒトの血を吸わなければ、「脱・吸血鬼化」の儀式を経て、その後も血を吸う必要がなく、普通の人間と同じように生活できる。
後10日で、17歳を迎える嵐野弓子のところに、儀式を受ける資格があるかの証人となるQが突然やってくる。
Qは、ウニのように長いトゲトゲに全体を覆われた得体の知れない物体だった。
高校生活を楽しむ弓子は、同じバスケ部のヨッちゃんとバレーボール部の宮藤君・蓮田君と北の浜へ出かける。
しかし、帰りのバスで、嵐に遭い、落石で、バスが崖下に落ちる。
弓子は、吸血鬼の本来の力を発揮し、ヨッちゃん蓮田君をバスから飛び出さないようにする。
宮藤君は、バスからさらに飛び出てしまい、崖下で、血を出して倒れている。
大量の出血を見、その匂いを嗅いだ弓子は、血の渇きに抗えなくなる。
弓子は、病院で、意識を取り戻し、両親から、ヨッちゃん、宮藤君、蓮田君が、大した怪我もなく助かったこと、そして、自分の「脱・吸血鬼化」の儀式が、無事終わったことを聞く。
宮藤君の血を吸って、吸血鬼となったはずなのに、儀式が終わったと言う、バス事故で、一体何があったのか、弓子は真実を知りたいと思う。
Qを探して、『原・吸血鬼』のメンバーであるロージュに会おうとクボーに潜入する。
弓子は、Qに会えるのか？事故の真相を知ることができるのか？
吸血鬼ということで、少しネガティブな物語かと思ったが、スーパー女子高生の心熱い物語であった。
2022年8月20日 発行
発行所 株式会社新潮社
ISBN978-4-10-336013-1
C0093 \1600E