フランチェスカ・サンナ 著
(Francesca Sanna)
青山 真知子 訳
海辺の町に家族は穏やかに住んでいたが、戦争が始まってしまった。
そして、戦争は、父さんを奪った。そして母さんの不安はどんどん膨らんだ。
多くの人が、町を離れて、よその国を目指している。
母さんは、町を離れることにした。誰にも分からないようにして、なんとか国境まで辿り着くが、番人に追い返される。
森の中を逃げていると、知らない人が現れ、お金をはらって、国境の向こうに連れて行ってもらう。
海にたどり着くが、まだ、安心に暮らせるところではない。
小さなボートに大勢の人と一緒に乗って岸に向かう。さらに、列車に乗って、いくつも国境を越える。
鳥も、長い旅をしているが、国境はない。この鳥たちのように安心して暮らせるところに辿り着けることを祈る。
不穏な黒いページと旅をするたくさんの鳥たちの絵が印象的である。
戦争が起きていることを考えると、この絵本のように、ふるさとを離れ、新しいふるさとを探すことが必要なくなることを願わずにはいられない。
2018年9月15日 第1発行
発行所 株式会社きじとら出版
ISBN978-4-908214-10-3
C8798 \2000E