伊坂 幸太郎 著
中学校の国語教師の壇を中心に複雑に話が進む。
檀は、他の人の唾液飛沫で、その人が将来見る映像を見ることができる。
過去に、教え子の本当の姿を知ることができず、実は困っている子を放っておいたことを悔やんでいる。
父親のことで、困ってると思われる生徒を知ろうとして、父親と接触するが、その際に父親の飛沫によって、父親が監禁されることを知る。
父親は、過去の爆弾テロ事件の被害者のサークルと接触していた。
サークルが理不尽なテロによって、亡くなった家族たちを思い、何か、事件を起こそうとしているようだ。
また書中に、壇の教え子の書いている猫いじめする人に復讐するロシアンブルとアメショーの物語が、挿入されている。
なぜか、この二人の復讐対象となる人が、被害者サークルに入っている。
被害者サークルが、問題を起こそうとすることを予知した壇は、事件の発生を抑えようとするが、そこに、復讐者二人が登場する。
二人は、サークルが起こそうとしていることには、関心はないが、サークルにいる復讐対象者を捕まえて復讐しようとしてサークルの狙いを邪魔することになる。
ニーチェの「ツァラトゥストラ」で語られる「永遠回帰」にインスパイアされて、本書を描いたそうだ。
作者は、爆弾テロに対する忌避感もあるのだと思う。
エンターテインメントではあるが、少し、難解な物語でもあった。
2021年10月30日 第1刷発行
発行所 朝日新聞出版
ISBN978-4-02-251792-0
C0093 \1700E