小手鞠 るい 作
こしだ ミカ 絵
作者の経験をもとにしたフィクションの絵本だそうだ。
三味線の上手なおかあちゃんは、民謡教室を開いているが、うるさくて宿題ができない。
おかあちゃんは、少しずつ目が見えなくなってきていて、おとおちゃんやわたしが幽霊のようにしか見えない。
しかし、耳や頭がいい。地獄耳だ。知らない言葉もない。
目が悪くても、たくましく、どこにでも出かけていく。
ある朝、おかあちゃんの部屋から、鳴き声が聞こえてきた。
おかあちゃんは、全く見えなくなってしまった。
「日本一のヘレン・ケラーになちゃるで。」とおかあちゃんは笑って立ち直りが早い。
中学受験の日、おかあちゃんが、「おまもりじゃ。」と手紙をくれる。
夜遅くまで、部屋を紙屑だらけにして、何かを必死で書いていた。
試験が始まる前にあけてみた。おかあちゃんの想いが詰まっていた。
おかあちゃんが見えない目で、たくましく、優しく作者を育ててくれている姿が目に浮ぶ絵本でした。
2022年8月 初版1刷発行
発行所 偕成社
ISBN978-4-03-350230-4
C8793 \1300E