アンドレス・バルバ 著
(Andrés Barba)
宇野 和美 訳
サンクリストバルで命を落とした32人の子どもたち・・・と言う不穏な書き出しの物語である。
サンクリストバルは、亜熱帯のジャングルに囲まれた茶色い川の流れる小さな町である。
妻の出身地であるサンクリストバルに、出世して、転勤してきた公務員である主人公が22年前に起きた事件について語る。
理解不能な言葉を話す子どもたちがどこからともなく現れる。
子どもたちは、物乞いをしたり、盗みを行うようになる。そして、スーパーを襲い怪我人まで出る事件が発生する。
子どもの親だと言う人も出てきて、ジャングルを一斉に調べるが、子どもたちの行方はわからない。
やがて、一人の子どもを捕まえることができ、拷問に近い問い詰めで、子どもたちが、下水道に潜んでいることが分かる。
下水道に入り、子どもたちを探すが見つからない。そして、冒頭の不幸な物語が起きてしまう。
子どもたちの無邪気さが、野生と暴力につながったのだろうか？
子どもたちの本当の姿がわからず少し怖さを感じる物語であった。
2020年11月13日 初版発行
発行所 （株）東京創元社
ISBN978-4-488-01105-5
C0097 \1800E