リン・コックス 文
(Lynne Cox)
リチャード・ジョーンズ 絵
(Richard Jones)
いわじょう よしひと 訳
(岩城 義人)
実際にあった話をもとに作られた絵本だそうだ。
アカウミガメの赤ちゃんがオーストラリアの浜辺で生まれる。
5cmくらいの赤ちゃんガメは、スナガニやアカギツネに捕まらないように、必死に海に向かって走る。
海の中を、藻の森に身を隠しながら、泳ぎ続け、数ヶ月で、インド洋にたどり着いた。
5年くらいで、ネコくらいの大きさになり、南アフリカの先っぽまでやってきた。ペンギン、オットセイなどと一緒に泳いだ。
しかし突然動きが取れなくなった。網にかかってしまった。
もう限界と思った時に、運よく、日本の漁船が通りかかり、網に絡んだウミガメを見つける。
漁師さんが、網を切って自由にしてくれたが、命に関わる深い傷があった。
漁師さんは、傷口を消毒して、世話をしてくれた。そして日本語で、＜ヨシ＞と名付けた。
日本に帰る前に、漁師さんは、ヨシをケープタウンのトゥー・オーシャンズ水族館へ連れて行った。
それから、20年間、ヨシは水族館で過ごし、ライオンほどの大きさにまで成長した。
ヨシは、立派なおとなのウミガメだったので、飼育員、獣医、動物学者は、ヨシを海に帰すことにした。
18か月間のトレーニングで、長い距離を泳ぐ力をつけて行った。
甲羅に発信機をつけたヨシはケープタウン沖で、海に下ろされた。
ヨシは、最初は、ケープタウンを北上したが、引き返し、東に進み始めた。
そして、インド洋をわたり、2年2ヶ月をかけて、オーストラリアのマーメイド・リーフ海中公園まで、3万7千キロを泳いだ。
自分の生まれ故郷まで泳ぎ切ったヨシの本能と力に感心させられました。
2023年6月30日 初版発行
発行所 あすなろ書房
ISBN978-4-7515-3124-2
C8797 \1500E