曹 文軒 文
(Wenxuan CAO)
石川 えりこ 絵
古代ギリシャの哲学者プルタルコスが投げかけた「テセウスの船」の問いをテーマにした絵本である。
にちげつまると言う大きな船が絵本の主人公である。
にちげつまるは、広い海を走り続けました。
歳をとった船員が、にちげつまるの世話をしてくれます。
船長がハンドルを取り替えるように指示します。船員は、ハンドルを自分の家の倉庫に引きずっていきました。
船長が帆を取り替えるように指示します。船員は、帆を畳んで倉庫に持って帰りました。
船長がマストを取り替えるように指示します。船員は、マストを倉庫に運びました。
船長がいかりを取り替えるように指示し、古いいかりを海に投げ捨てました。船員は、沈んだいかりの場所を覚えました。
その後も、船の板、船底の板、最後に船の底にある竜骨が取り替えられました。その度に、船員が、取り替えられた板、竜骨を家に持って帰り、倉庫に入れました。
また、船員は、海に潜り、いかりを引き上げました。
船員は、船長に、仕事をやめると言って、職人を雇い、にちげつまるから持ってきた木材で、大きな新しい船を作り上げました。
大きな船が、海に浮かびました。この船は、また、にちげつまると呼ばれます。船員が船長になりました。
全て新しい部材に取り替えた船と古い部材で作った船のどちらが、にちげつまるでしょうか？
哲学的問題を上手く描いた絵本である。
2023年5月28日 初版第1刷発行
発行所 株式会社小学館
ISBN978-4-09-725214-6
C8771 \1600E