エーリヒ・ケストナー 作
(Erich Kästner)
ホルスト・レムケ 絵
(Horst Lemke)
池田 香代子 訳
ドイツの詩人・作家であるケストナーの子供時代の自伝である。第一次世界大戦の始まる1914年著者が15歳の時まで記されている。
自伝ではあるが、お父さん、お母さんの先祖のことから、記述が始まっている。
著者は、小さい頃から、成績も運動も得意で、師範になることを期待され、本人も目指したようだ。
書中では、お母さんとの思い出が多く書かれている。お父さんに関してはそっけない感じだ。
お母さんは、家計を助けるため、美容師の資格をとり、町で、人気の美容師になったようだ。
そして、一人っ子である著者に深い愛情を注いだ。著者も、お母さんの仕事を熱心に手伝っている。
しかし、お母さんは、ナイーブなところもあり、根を詰めて働き過ぎたためか、精神の安定を崩すこともあったようだ。
母、おじさん、いとこなどとのできごとや思い出が、著者のその後の作品のもとにもなっているとのことだ。
岩波少年文庫として収められているが、子供だけでなく大人にも読み応えのある作品であると思う。
2023年8月10日 第1刷発行
発行所 株式会社 岩波書店
ISBN978-4-00-114628-8
C8397 \880E