長谷川 摂子 再話
片山 健 絵
貧乏な一人もんの男が、山の田んぼから帰ってくると後ろからいとしげな若い女がついてきた。
女は、男に泊めてくれと言って、何日も出て行かないで、よく働いてくれた。
そして、夫婦になり、やがて男の子が生まれた。
ある時、女は、椿の花があまりに美しいので、つい我を忘れてしまう。
女は、男の子にその尻尾を見られてしまう。そして、狐になって山に戻ってしまう。
男は、一人で、田植えの準備をする。次の明け方暗い内に山の田んぼから女の声がした。
行ってみるともう田植えが終わることころだった。
女は、男の子に乳を呑ますと山に飛んでいってしまう。
秋になると、稲は大きく育ち、白い米がたくさん取れた。男と男の子は元気に暮らした。
なぜ狐がやって来たのかわからなかったが、少し切ない話だった。ダイナミックな絵本である。
1997年12月10日 発行
発行所 福音館書店
ISBN4-8340-1293-X
C8795 \1300E