チェーホフ 著
浦 雅春 訳
本書は、チェーホフの戯曲2編が収録されている。
「三人姉妹」の舞台を日本の植民地下の朝鮮半島に置き換えた「外地の三人姉妹」という舞台を観劇したので、本書を手に取った。
「三人姉妹」は、地方都市で暮らす三人姉妹が、モスクワへの帰郷を夢見ながらも、長男夫婦や下宿している軍医、男爵、そして、新しく赴任してきた砲兵中隊長などとの関係性からもたらされる閉塞感の中で、その地で生きて行くことを選ぶ。
「ワーニャ伯父さん」も田舎が舞台であり、ワーニャは、姪のソーニャの母である妹が亡くなった後も、都会に住むソーニャの父である大学教授とその若い後妻に、仕送りをしてきた。教授と妻が夏に屋敷に滞在したことで、ワーニャは、人生への後悔の念を持つ。
どちらの作品とも自分たちだけではどうすることもできない現実と諦めが描かれていると思った。
100年以上前の作品であるが、いまだに、再演・翻案され、演じられているのは、変わらぬ人の悩みや想いなどが描かれているからだろうか？
2009年7月20日 初版第1刷発行
発行所 株式会社光文社
ISBN978-4-334-75187-6
C0197 \724E