デビー・ダディ 作
(Debbie Dadey)
ジュリアナ・オークリー 絵
(Juliana Oakley)
竹内 薫 訳
2023年にドリュー・ワイスマンペンシルベニア大学教授とともにノーベル生理学・医学賞を受賞したカタリン・カリコ博士を描いた絵本である。
カタリンはハンガリーに生まれ、学校では、細胞に興味を持ち、科学者になりたいと思った。
14歳の時には、科学オリンピックで、3位に入賞しましたが、さらに勉強したいという気持ちに火をつけた。
カタリンは、大学院を出て、博士になった。セゲド生物学研究所で、mRNAに興味を持った。
病気になるとmRNAが働いて体が反応し、抗体などのタンパク質を作ります。この働きを利用できるのではないかと考えた。
しかし、自分のものでないmRNAは、細胞により分解されてしまう。
カタリンは、アメリカに移り、研究を続けることを選ぶ。テンプル大学では、mRNAに関する研究は認められず、ペンシルベニア大学に移る。
そこで、ドリューと出会い、二人で話をするうちに、mRNAを分解されない形で細胞の中へ送り込むアイデアを思いつく。
その後、8年間の研究を経て、mRNAを細胞内に送り込み抗体を作らせるようにすることに成功した。
カタリンは、ドイツのビオンテック社に移り、病気の予防・治療の研究を続けた。
2020年に新型コロナウイルス感染症が流行した。カタリンは、mRNAにより、素早くワクチンを作れると考えた。
ファーザー社とビオンテック社によって、10カ月でワクチンが開発された。
本書は、ノーベル賞受賞が決まる前に作成されていたそうだ。タイミングの良い出版である。
2023年10月21日 初版第1刷発行
発行所 西村書店
ISBN978-4-86706-047-6
C8798 \1800E