津村 記久子 著
100 min. NOVELLAと言う小説レーベルの一冊である。約100分夢中で読める中編小説だそうである。
物語は、投票で、会社の代表を決める会社の話である。
1回目の投票で、一位の藍井戸が、28%、二位の黄島が、26%、三位の緑山が、24%、四位の紫村が、12%、五位の桃野原が、10%の結果だった。
主人公は、三位の緑山を応援している。緑山陣営は、定期的に会合を開いていて、うどんが振る舞われ、うどん好きの人が多い。
藍井戸は、現在の会社代表である。黄島は、吸収した小さい会社の社員をリストラして、採算性を高めようとしている。
紫村は、黄島よりさらに強硬な方針を出している。桃野原は、藍井戸に近い方針を出している。
2回目の投票は、上位二名の決戦となるが、4位、5位の陣営の動きを見ると、激戦になり、緑山陣営の動きが影響しそうだ。
緑山陣営は、最初棄権を考えた人が多かったが、自分の投票で、代表を選べる可能性があり、投票先を考える。
また、相手の陣営のアラを探して、攻撃する動きや、緑山陣営の気の弱そうな人を無理矢理誘って、投票させようとするような動きも出てくる。
会社員の直接投票で、代表を選ぶのは、見通しの良い会社になると思うが、派閥的なしこりも残す気もする。
レーベルの狙い通り、一気に、読み通せる長さで、面白かった。
2023年7月7日 初版第1刷発行
発行所 株式会社U-NEXT
ISBN978-4-910207-83-4
C0093 \900E