済東 鉄腸 著
タイトルに興味を持って、本書を読んだ。
著者は、大学時代に、東日本大震災、放射能問題、さらに、大学のサークルで失恋し、メンタルの調子を崩した。
それでも、無理して、大学を卒業した。しかし、就活もうまく行かず、力尽き、引きこもりになってしまう。
引きこもりになってから、映画を見まくる生活が始まる。そして、見た映画の批評をするようになる。
しかし、字幕のついた映画の批評では不満になり、誰も批評を書いていない日本未公開映画の批評を書くことを始めた。
その中で、ルーマニア映画に出会う。そして、ルーマニア語に興味を持ち、ルーマニア語の勉強を始める。
映画にルーマニア語字幕を付ける方法から入り、SNSで、ルーマニア人やルーマニアに関係ある人と知り合いになり、メッセージを交わすようになった。
ルーマニア語で、文を書き、ルーマニアの人に読んでもらうようになった。その中に、文芸編集者もいて、ルーマニアの文芸サイトなどで公開
してくれるようになる。
ルーマニア語で小説や詩を書く変わった日本人作家として認められるようになったそうだ。
映画・言語オタクとも言えるが、ルーマニアでも認められるところまで、突き進むことができるのは、素晴らしいと思う。
クローン病という難病にもかかわらず、「日系ルーマニア語は俺が作る」と言う熱意を感じる本であった。
2023年2月10日 第1刷発行
発行所 株式会社 左右社
ISBN978-4-86528-350-1
C0095 \1800E