サル・バルテール 文
(Sarah Barthère)
クレール・ド・ガストルド 絵
(Claire de Gastold)
古川 萌 監修
松枝 恒典 翻訳
アントニ・ガウディ・イ・クルネットは、1852年6月25日、スペイン、カタルーニャ地方のレウスに生まれた。
父は、銅細工師であった。アントニは、よく父を手伝い、金属製品の加工がとても上手だった。
アントニはリウマチで関節が痛むため、別荘で体を休めるとともに自然をよく観察した。
1869年、17歳の時、バルセロナに引っ越し、22歳の時に建築学校に入学した。教授たちは、彼の独創性に関心した。
1878年、アントニは、建築士の資格を得た。そして、26歳の時に、建築事務所を開き、興味深い計画の注文をいくつも受けた。
バルセロナの富豪で、美術愛好家のエウゼビ・グエルが、パリの万国博覧会で、アントニが作ったショウケースに感銘を受け、二人は友人になった。
アントニの最初の大きな作品は、1883年に工事を始めた《ビンセンス邸》である。陶製のタイルで装飾したので、中近東の建物のようだ。
1883年の暮れ、サグラダ・ファミリアの工事を任された。
エウゼビは、アントニの才能を見抜き、多くの工事を依頼し支えた。
現在、《グエル公園》として、観光地になっているところは、グエルが注文した公園を備えた巨大な住宅地だった。とてもお金がかかる計画だったため、公園だけが完成した。
その後、《バトリョ邸》《ミラ邸》などを完成させる。
1914年、アントニは、62才になり、サグラダ・ファミリアの工事に専念するため、大聖堂の中に仕事場をしつらえ、他の仕事は断った。
1926年6月7日、考え事をしながら道を渡り、路面電車にはねられてしまい、3日後亡くなった。
ガウディは、個性的な建築家で、反発する人も多かったようだが、グエルのような良き理解者にも恵まれたため、現在多くの人を魅了する作品を残すことができたと思う。
2023年12月25日 発行
発行所 中央公論新社
ISBN978-4-12-005726-7
C8771 \1800E