吉川 トリコ 著
あわのまにまに（出版社サイト）
変わった構成の物語である。
6章から構成されるが、各章が2029年から、10年づつ過去に遡って綴られる。
物語の語り手も章ごとに変わってゆく。
祖母、母、孫を中心とした家族や友人・恋人などを軸に物語は、遡る。
どの年代でも、登場する人々が、どのような関係性か明確に描かれず、ミステリアスに描かれる。
三世代の人物が、10年のギャップをもって描かれるので、少し混乱した。
第1章の主人公・語り手は小学三年生の木綿(ゆう)だが、第2章は登場しない。
2章以降語られる母や叔母、祖母の経験した人生を木綿は知ることがあるのだろうか？
人にそれぞれ歴史はあるが、断片の中で生きているとも言えるのではないかと思った。
2023年2月22日 初版発行
発行所 株式会社 KADOKAWA
ISBN978-4-04-112156-6
C0093 \1700E