ブレイディ みかこ 著
私労働小説 ザ・シット・ジョブ（出版社サイト）
本作は、著者が体験したことも混じえて書いたフィクションだと言うことである。
金銭的にも報われず、社会的にも軽視されている仕事がある。英国では、こうした低賃金の仕事をしている人たちは、自分たちの仕事を「シット・ジョブ（クソのような仕事）と呼ぶそうだ。
本書では、水商売の女性、部屋代を払ってホームステイしているが勉強になると言って仕事を押し付けられている留学生、保育士と同じ仕事を押し付けられている保育士見習い、介護士などが描かれている。
低賃金で、仕事がきついだけでなく、精神的にも追い詰められているところがつらい。
新型コロナで、医療・小売・ケア業界で働くいわゆる「エッセンシャル・ワーカー」の重要性が見直された。
著者は、労働に関する価値観の根本的シフトが始まっているように思える。ザ・シット・ジョブが過去の言葉になるのではないかと述べる。
身分や学歴、年齢、人種、国籍などでの理不尽な差別解消が世界的に進むことを期待する。
2023年10月26日初版発行
発行所 株式会社KADOKAWA
ISBN978-4-04-111715-6
C0093 \1500E