著者 ブレイディ ミカコ
(Mikako Brady)
コロナ禍の最初の頃2021年から、最近2024年年明けまで連載されたエッセイを収録したものである。
1編は、4〜5ページにまとめられている。
書名は、息子からクリスマスプレゼントとして"Life is rocky when you're a gem."と書かれた赤いTシャツをプレゼントされたことに由来している。
イギリスでは、よくgemという言葉を使う。gemは、宝石・珠玉という意味があるが、gemは磨かれていない原石・石ころもさす。
宝石という意味で、使われているわけではなく、石ころだけど時々輝く人というような意味で使われている。
この本では、このgemのような人々について、綴られている。
コロナ禍で、イギリスでは、厳しいロックダウンを行ったことがわかる。
著者は、家で原稿を書いて、図書館やカフェで推敲するやり方をとっていたが、図書館も利用できず、公園で、原稿を開いていて、職務質問される始末である。
何事もうまくゆかず、メンタルがおかしくなり、ロックダウン鬱なのではないかと思ったそうだ。
コロナ禍期間中に、著者にもいろいろなことが起きたようだ。
息子が、カレッジに入った。連合いがガンになった。実家のお母さんが亡くなった。
コロナに加えて、ウクライナ戦争も始まり、日本への帰省も容易でなくなったようだ。
図書館が閉鎖され、子ども遊戯室の一角に図書室が設置され見覚えのある書棚が置かれ、それが図書館をよく利用していた友人がなくなり寄付されたものだった。
裕福ではないが、イギリスの善良な一般の人たちの生活を見たような気がする。
また、日本にいる著者の父とイギリスにいる息子(孫)のお互い片言の言葉のやり取りながら、心の通じたコミュニケーションに心が暖まる。
イギリスのブライトンと言う都市で記されたエッセイであるが、共感を感じるところの多い内容でした。
2024年6月25日 初版発行
発行所 中央公論新社
ISBN978-4-12-005796-0
C0095 \1500E