作 最上 一平
絵 ザ・キャビンカンパニー
滝壺に住むガマは、やってきたイワナが何度も何度も滝を途中まで昇っては落ちてくるのを見ていた。
ガマは、呆れてイワナにどうして昇ろうとするのか聞きました。
イワナは、滝の上に行ってみたいんだよ。誰かが呼んでいる気がするし、新しい自分に出会える気がするんだと答える。
ガマは、呆れますが、羨ましくもありました。
嵐が来て、滝は、いつもの何倍もの水音がしました。その中で、ガマはイワナの影を見ました。
水が収まるとイワナの姿はどこにもありません。
ガマもイワナのように滝壺に飛び込みましたが、とても昇れません。
ガマは、陸に上がって、山に向かって歩き始めました。急斜面で、転げ落ち、傷つきましたが、歩き続けました。
ガマは、とうとう滝の上に辿り着きました。滝の上には、千びきのガマと千びきのイワナがいました。
そこには、いままでのガマとは全く違った、たくましいガマが立っていました。
知らなかった世界への憧れとチャレンジの素晴らしさを描いた絵本でした。また、迫力のあるガマやイワナの絵も素晴らしい。
2025年3月 初版第1刷発行
発行所 株式会社文溪堂
ISBN978-4-7999-0552-4
C8793 ¥1600E