作 ブリッタ・テッケントラップ
(Teckentrup)
訳 三原 泉
地面の下に住むモグラは、毎晩、地面の上に顔を出し、星を眺めていました。
ある晩、流れ星に、「世界中の星が、僕のものになりますように」と願い事をしました。
目を開けたモグラはビックリしました。そこらじゅうに、ハシゴが空に向かって伸びていました。
モグラは、ハシゴをのぼり、星を自分の家に集めました。星あかりにつつまれて眠りました。
モグラは、自分の家が前より好きになりましたが、地面の上に顔を出してみると、空は真っ暗でした。
森では、動物たちが、星が見つからず、寂しがったり、困ったりしていました。
モグラは、胸が痛くなり、森の奥にそうっと姿を隠しました。
モグラは、水たまりで、弱々しく光っている星を見つけました。
もしかして、あの願い事をした流れ星でしょうか？
モグラは、「あんな願い事をしなければよかった」とつぶやきました。
星が、またまたたきはじめました。そしてハシゴがあらわれました。
モグラは、広場にかけて行き、みんなに謝りました。みんなの星を空に返すよ。
動物たちは、ひとつひとつ星を空に戻しました。最後に、流れ星を戻しました。
モグラは、森のみんなと一緒に夜空を眺め、星の美しさを楽しみました。
大事なもの、美しいものを、ひとりじめするのではなく、みんなで分かち合い楽しむことが素晴らしいことと感じさせる絵本でした。
2019年2月1日 第1刷発行
発行所 BL出版株式会社
ISBN978-4-7764-0867-3
C8798 ¥1500E