ベルンハルト・シュリンク & ヴァルター・ポップ 著
岩淵 達治 他 訳
シュリンクは、世界的ベストセラーになった「朗読者」の著者である。
本書は、その最初の作品だそうである。
氏は、法学部で、講議し、憲法裁判所の判事も務めているそうだ。
ストーリーは、私立探偵ゼルプが、ある企業で起きている情報システム上のデータ操作の犯人（ハッカー）の捜査依頼を受ける所から始まる。
その企業の会長とゼルプは、義理の兄弟であると共に、ナチス時代の裁判事件での判事（ゼルプ）と証人の関係でもある。
ゼルプは、かつては、ナチス側の判事として働いていたことを戦後も負い目として、引きずっている。
ハッキングを行った犯人は、比較的容易に特定されるが、不審な事故で亡くなってしまう。
単なるハッカーの事件では無く、ゼルプや会長らが関係するナチス時代のできごとと絡む事件へ発展して行く。
また、ゼルプは英語のselfに対応する言葉だそうだ。タイトルはこれも意図してつけられたらしい。
2002年6月20日 初版第一刷発行
発行所 (株)小学館
ISBN4-09-356331-4
C0097 \1900E