第29-30週

ゼルプの欺瞞

ベルンハルト・シュリンク 著
平野 卿子 訳

筆者の二作目のミステリ小説である。
一作目の「ゼルプの裁き」とシリーズになっており、ナチス政権下で、判事をやっていた老探偵ゼルプが主人公である。
今回は、失踪した女子学生に関する捜査依頼が、父親と名乗る男から電話で、行われる。
しかし、依頼者への連絡は、留守番電話経由のみで、会うこともできない。
女子学生の痕跡を探る内に、女子学生を保護したと思われる精神科医が、殺されたり、ゼルプ自身が、襲われたりする事件が発生する。
また、警察が、事件の内容を明らかにしないで、女子学生を指名手配する。
どうも女子学生は、米軍基地へのテロ事件に絡んでいたらしい。
しかし、本当にテロが行われたかどうかは、具体的証拠もなく、ゼルプは、独自に女子学生失踪の真相を探る。
前作は、ゼルプ自身に関わる事件であったが、本作品は、より本格的ミステリ作品になっていると感じた。

2002年10月20日 初版第一刷 発行
発行所 小学館
ISBN4-09-356332-2
C0097 \1900E

9. 「ゼルプの殺人」へ

0. 戻る