ベルンハルト・シュリンク 著
岩淵 達治&石丸 英子 他 訳
「ゼルプの欺瞞」に続くゼルプ三部作の第三作目である。
主人公のゼルプは、既に70才を越えた老探偵であり、作中でも、心筋梗塞などにも襲われ、さっそうと事件を解決仕手行くというストーリーでは無い。
今回の事件が、最後の事件であることを感じさせる。
また、ゼルプの息子と名乗る東独の男も登場してくる。
事件は、偶然雪道で巡り会った銀行の頭取と運転手から、戦前に行われた銀行への匿名の出資者の調査を依頼されるところから始まる。
出資者を調べる内に、銀行資料に詳しい元教師が死んだり、ゼルプ自身が尾行されたりし、頭取や銀行自体が怪しいと感じ、調査を進める。
過去に、頭取の妻が事故死をしていたり、関連の銀行で、お金の不自然な流れがあったりする。
銀行の乗っ取りが進んでいるようだ。
しかし、その底流には、匿名の出資の理由、さらに、頭取と匿名の出資者との複雑な関係があり、ミステリーが深まる。
2003年4月20日 初版第一刷 発行
発行所 小学館
ISBN4-09-356333-0
C0097 \1714E