ジェフリー・アーチャー 著
戸田 裕之 訳
下巻では、マロリーが、エベレスト登頂似挑む姿が、描かれる。
実際には、3度遠征しているとのことだが、本書では、2度の遠征が描かれる。
エベレストは高度が上がると、気圧は3分の１、気温が-40度(華氏、摂氏とも）と言う人にとって極限の環境になる。
最初の遠征で、第一回目のアタック隊が、これまでの最高高度まで登ったが、登頂に至ることはできなかった。
マロリーがアタックした第二回は、天候にも恵まれて、早い速度で登頂を進めたが、突如起きた雪崩により、7人のシェルパを亡くすという事故が起きてしまい、撤退することになる。
マロリーは、愛する家族のことを思い、もう2度と、エベレストに登頂することを諦めようとするが、周囲の期待から再度、遠征登攀隊長におされる。
また、最初の遠征の後、遠征資金集めのため、アメリカヘの講演旅行等も出かける。
アメリカの講演で、「なぜ山に登るのか」という質問に、「そこに山があるから」と言う有名な回答をしたと伝えられる。
2度目の遠征でも、1回目のアタック隊は、登頂できず、マロリーは2回目のアタックを行う。
登頂に成功したら山頂に妻の写真を置いて来るという約束をする。
本書では、マロリーは登頂したのち、下山途中で、滑落したとしているが、実際に、成功したか否かは不明とのことだ。
後年見つかったマロリーの遺体からは、妻の写真は、見つからなかった。
しかし、登頂を記録しているはずのカメラも見つかっていない。
本書では、マロリーのエベレスト登頂への思いと妻・家族への愛情を描いている。
新潮文庫 ア-5-31
平成23年1月1日 発行
発行所 (株)新潮社
ISBN978-4-10-216131-9
C0197 \590E