ジェイムズ・レナー 著
北田 絵里子 訳
上巻では、主人公のデイヴィッドが、プリムローズ・レーンの男の殺害容疑者と疑われる。
また、亡くなった妻の指紋がプリムローズ・レーンの男の家から出たことから、デイヴィッドは妻殺しも疑われる。
しかし、そんな主人公を助ける老人が出て来る。
デイヴィッドはその老人と話をしているうちにその老人が誰なのかわかる。
老人が誰なのかは、ネタバレになるので、書かないが、第3部『わたし』で、ストーリーが大きく展開する。
過去に起きたと同様に少女が誰かに連れ去られる事件が起きる。
同じ犯人と考えたデイヴィッドと老人は犯人を捜す。
上巻では、過去と現在が語られたが、下巻では、未来と現在が並行して語られる。
少女を助けることはできるのか？
過去の事件を解明して、犯人をとらえることができるのか？
事件の連鎖とそれを追いかけるデイヴィッドの執念の物語だ。
プリムローズ・レーンの男が、指先を切り落とされて殺された理由は記されていなかったが、指紋からだれかわからないようにするためだと思う。
幕間として、奇妙なおおきなカエル状の生き物が語られるが、最初は、ストーリーと何の関係があるのかと思って読んでいたが、最後まで読むと、物語の重要な鍵、できごとであったことがわかる。
全体にストーリーが輻輳して進むこと、登場人物の関係が少しわかりにくいところがあったが、犯罪ミステリーにSF的なトリックを加えたユニークな作品を考えることができると思った。
<NV1322>
2014年10月15日 発行
発行所 (株)早川書房
ISBN978-4-15-041322-4
C0197 \760E